奥出雲地方で盛んに行われていた「鉄穴流し」は、山を切り崩して土砂を流し、それに含まれる砂鉄を採取する方法です。
この鉄穴流しは、山を切り崩すことはもとより、大量の土砂を河川に流すことから、流域の環境に大きな影響を与えました。川底が上がり洪水を起こしやすい「天井川」(川底が周囲の平地よりも高くなった川)となることや、流域の農業用水路が埋まることなどは負の側面です。その一方で、先人達は鉄穴流しの跡地を棚田に造成したり、川を流れ下った土砂を利用して新田開発を行うなど、跡地や土砂を有効に利用してきました。
私たちの慣れ親しんだ出雲地方の景観は、たたら製鉄によって育まれたものだったのです。